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甘く、苦く

第35章 櫻葉【カケラを集めて】

櫻井side



「さむっ…」



雅紀が出ていったのは
もう1時間も前のこと。


雅紀を探してるんだけど、
これが見つからないんだわ。


俺がいけなかった。

雅紀との約束をすっぽかして
にのと飲んでたから。


その挙げ句、雅紀を無理矢理抱いた。


そんなの、家を飛び出すに決まってる。



「ほんとさみぃな…」


鼻をずずずっとすする。


さすがに薄い服を一枚羽織った
だけじゃ足りなかった。


…雅紀は、どこにいるのかな…



「あぁぁ…さみぃ…」


こんなとき、雅紀の温もりがあれば、
なんて思う俺は変態だろうか。


でも、雅紀の笑顔は心を温かくする。

幸せになる。


そんなあいつの笑顔をぶち壊した
俺はなんて最低なやつなんだろうか。

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