テキストサイズ

甘く、苦く

第38章 お山【どんなときも】session 2

大野side


「…眠っ」



俺がぽーっとしてたら、
翔ちゃんが寝室に連れてってくれた。



「寝てな?」

「…しょがいい…」



一緒に寝たい。


温もりを分け合いたい。



「ん?」

「一緒がいい…」



俺が布団から顔を出して言ったら
翔ちゃんは優しく笑った。


「甘えん坊だね。
いいよ、一緒に寝よ?」



翔ちゃんが布団に入ってきて
俺を抱き締める。



…あったかい。


幸せな気分になれる。



「…さとっさん、眠い」

「寝ればいいじゃん」

「えー、話してたい」



翔ちゃんの息が俺のおでこに
あたってくすぐったい。


けど、気持ちいい。



「話すことなんてある?」

「将来について?笑」

「結婚してるじゃん…」


これ以上なにかを望むなんて
考えられない。


幸せなんだもん。


「ほら、挨拶とか…」

「翔ちゃん家行ったよ?
俺ん家だって」

「子供…とか笑」

「作れねーわ!」


子供…俺は作れない。


男だから。


けど、翔ちゃんは子供の作れない俺を選んでくれた。



「なんか、ハズい…」

「翔ちゃんから話したんじゃん」

「もー寝る!おやすみ!」

「おやすみ」


俺は翔ちゃんとキスして
ゆっくり瞼を閉じた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ