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甘く、苦く

第41章 櫻葉 末っ子 【ALLWAYS】

相葉side




さっきからずっと機嫌の悪そうな翔ちゃん。



…俺がいけないのはわかってる。



だって、あの日は楽しみだったから
なにも言わないで出掛けて、夜遅くに帰ってきて。



そんな感じだった。



翔ちゃんなら怒んないからいいやって
思って結構遅くまで飲んでた。



帰ってきても翔ちゃんは
なにも言わなかったからいいかなって思ってた。



…こんな気まずい雰囲気、
耐えられないよ…



俺が翔ちゃんをちらっと見たら
翔ちゃんも俺を見ていたのか視線が重なった。



すげぇ嬉しくて「翔ちゃん」って
小さい声で呼んでみるけど…



翔ちゃんはなにもなかったかのように
俺から視線を逸らした。



舞い上がってんのは俺だけなんかなって思って
少し悲しくなった。



「…翔ちゃん」



もう一回名前を呼んでみたら、
翔ちゃんが振り返った。



…すっごく綺麗な顔立ち。



失礼かもしれないけど、女の子みたい。



けど、かっこいいんだ。



「ごめん、ね?」

「…いいよ。怒ってないから。
その代わり…今夜はお仕置きだからね?」



俺の耳元で甘く囁く翔ちゃんの声は
今までで一番低い声だった。

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