甘く、苦く
第42章 磁石【先生と俺】
まあね?
簡単には手に入らないわけよ。
あっちは大人だから
俺なんかに興味ないだろうし。
「先生、なんか暑い…」
って、シャツのボタンを外して
はだけてみても…
「じゃ、窓開けるな~」
って。
…こんなにかわいい子が(←自分で言ってる)
誘ってんのになんとも思わないの!?
俺が櫻井先生の後ろ姿を
睨み付けると冷たい冬の風が
びゅうっと入ってくる。
「っくしゅ!」
「おいおい、風邪引くぞ」
ふわっと香る、
櫻井先生の匂い。
これは……先生の白衣!?
俺がばっと広げ確かめると
櫻井と書いてある真っ白な服。
もう一回匂いを嗅ごうとしたら
先生に叩かれた。
「俺の服で遊ぶな」
「あぁ~!!」
先生が俺の頭を優しく撫でた。
…これだけじゃ治らないよ。
恋の病の場合。