テキストサイズ

甘く、苦く

第42章 磁石【先生と俺】

二宮side





「二宮!」



――ほら、俺の王子様は迎えに来てくれた。



「起きろ!」



――あぁ、王子様っているんだね。



俺がぼんやりしてると
ふわっと香る、いい匂い。



櫻井先生、じゃん。



…バカ。



俺の王子様は助けに来るのが
遅すぎるんだよ。



もうすぐで死んじゃうところだったよ?



「せんせぇ…っ」

「あーもぅ、泣くなよ」




白衣の裾でゴシゴシと
俺の顔を拭く先生。



それでも涙は止まらない。



家庭科室から燃え広がった火は
無事、止められたらしい。



「うえっ…せんせっ…」

「んだよ…」

「すきっ、せんせぇがすきっ…」



泣きながら叫んでると
ふわっと香る、櫻井先生の匂い。




…うそ。



抱き締め、られてる?





俺が顔を上げると
大好きな櫻井先生の顔。



「…っ、好きぃ…」

「はいはい…


…俺も好きだよバーカ」




…この結果ならもっと早くから
コクっときゃよかったかも。



なんてね。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ