
甘く、苦く
第42章 磁石【先生と俺】
「ほんとに好き?」
「あぁ」
じゃあ、これから「好きだ」とか
「愛してる」とか信じていいの?
…ねぇ、ちゃんと俺の顔見て言ってよ。
「先生、好きって言って!」
「好きだ」
思っていたより嬉しくて
思わず視界がぼやける。
あー。
だめだ。恥ずかしい。
一人でぐずぐずしてたら
先生の手が俺の両頬を包み込んだ。
そしたら――あのときとは違う。
頬じゃなくて、唇に
温かいなにかが触れた。
なにかはわかってるよ。
櫻井先生の唇でしょ?
俺がゆっくり瞼を開けると、
先生は俺は抱き締めてくれた。
「もぅー…。
バカ。アホ。」
「なんだよ笑」
…好きだよ。
愛してる。
やっと先生が手に入った。
ちゃんと、心も――。
