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甘く、苦く

第45章 にのあい【現在進行形】

相葉side



にのに避けられた。


俺、なんかしたのかな。

楽屋の扉の前で立ち止まって、
考えてみるけど、怒らせるようなことは
なにもしてない……と思う。


今日の収録だって撮影だって
いつも通りこなしてたし。

おれと話すときだって
普通に話してくれたし。


今日は……リーダーと
飲みたかったんだよね。

うん。そうだよね。



「相葉くん、そこ邪魔」

「あ……松潤ごめん」



松潤は俺の頭をぽんぽんっと撫でて
楽屋を出てった。


で、残ったのは俺と翔ちゃん。



「んじゃ、俺、帰る――「えぇ!?」



翔ちゃんの腕にしがみついて
俺は離さないようにした。


翔ちゃんは「やめろよー」って
言ってるけど顔は笑ってる。



「……帰んないで…」

「やだ」

「酷い…」



俺が泣きそうになりながら、
震えてる声で言ったら翔ちゃんは
俺の頭をぐりぐりした。



「いたたっ…
痛いよぉ…っ」



俺が頭を押さえても
翔ちゃんはぐりぐりすんのを
やめてくれなくって。


でも、すぐに止まって。



「痛いと泣くよね」

「へ……?」



翔ちゃんは俺の濡れた頬を
優しく拭いてくれた。



「辛いんならさ、泣けよ。
話、聞くよ?」

「しょおぢゃん…っ」



俺が泣いてたら、
翔ちゃんはハンカチを貸してくれた。


……優しいなあって。



「ほら、今日は帰ろ
俺ん家来る?」

「ん……」



翔ちゃんの手をしっかり握って
ゆっくり歩き始めた。


翔ちゃんはやっぱり
兄貴みたいな存在で。

すっごく頼りになる。
…ヘタレだけど。




翔ちゃんのこと、
大好きだなあって思うようになった。

それはもちろん、恋愛的な意味で。

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