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甘く、苦く

第45章 にのあい【現在進行形】





「…辛いよね。
わかるよ。俺もそういうことあったし?」



顔を上げると、
身長差がないから
そのまんま見つめ合う。



そっか…

大野さんなんて俺より少しだけ長く生きてるんだから
俺よりたくさんの事があったんだろうな。



「…そうだよね。
くよくよしてないで
前に進むよ。ありがと。大野さん」



俺は大野さんに笑いかけて、
大野さんは俺に笑いかけて。


大野さんと二人の空間は
本当に大好きで。

けど、二人ともマイペースだから
噛み合わないときとかあって。



「…んじゃ、戻ろっか」



大野さんがふわぁ~っと
大きな欠伸をして伸びた。


…俺、失恋かあ。



相葉さんとの恋は
諦めるしかないよね。

うん。仕方ないよ。


新たな恋を探そう。

誰だっていいんだ。


あの人以外、
俺は好きになれないから。

誰だっていい。
男でも女でも。


俺を癒してくれればいいんだよ。



相葉さんを忘れさせてくれれば。




「にの遅いよー」



…全くこの人は、
人の気も知らないで。


相葉さんは俺の頬をむにむにと揉んで
頭をぽんぽんと撫でた。



「あー、ごめん」



相葉さんに謝っといて、
大野さんの膝の上に座る。



「重いー…」

「いいじゃん。
俺の定位置なんだから」



ゲーム機を取り出して
キャラクターを動かす。


こんな単純作業、
やり慣れてるはずなのに
なかなかクリアできなくて。



「…はぁ」

「にの、何回目?」



大野さんが呆れたように
ふっと息を吐く。



…だって……


俺の目の前には
翔ちゃんと幸せそうに笑ってる
相葉さんがいるんだもん。


こんなに苦しいなんて
思ってなかったから。





翔ちゃんは潤くんと
付き合ってるんじゃないの?


潤くんは俺の方をチラチラ見てるし
翔ちゃんにも目で助けを求められてるし。



……知らないよ。

無理。



俺が助けるんじゃなくてさ、
誰か俺を助けてよ。

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