
甘く、苦く
第46章 磁石【move on now】session1
ふと、スマホが鳴った。
画面に表示された文字は
『大野さん』
「はい?大野さん?」
「おー出た出た。
明日、よろしくね~」
「はいはい。
キッチリ20万、よろしくお願いしますね?」
「わかってるよ~、じゃーねー」
通話は一方的に切れた。
明日も20万。
今日はたくさん相手したから
100万。
…いける。
このままなら。
大野さんとは居酒屋で出会った。
俺がアルバイトしてたから。
大野さんは俺を可愛がってくれた。
優しく接してくれた。
一番、わかってくれた。
大野さんは俺のことを
大切にしてくれた。
ウリなんかやめて、
俺の所に来いって言ってくれた。
だけど、俺は汚れてるから、
大野さんの隣になんて、いる資格がないから。
やば…。
なんか頭痛い。
今日は早く寝ようかな。
どうせ、高校に行っても
なんにもすることないし。
ー ピンポーン♪ ー
…こんな時間に、誰?
そう思って玄関のロックを外した。
俺の目の前には、
おにーさん。
