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櫻井side



「はぁ…」



さっきから隣でため息ばっかり
している雅紀。



…やめて欲しいわ。



「雅紀、どうした？」

「んー…はぁ、失恋？笑」



失恋って…お前好きな奴いたのかよ。



そうつっこもうと思ったけど
そういうふざけた雰囲気じゃなくて。



「…ドンマイ。どんな女子？」

「……軽蔑するかもしれないけどさ、
女子じゃないんだよ…しかも、年下」



「あー、もぉやだぁ」って
机に頭をのせる雅紀。



…女子じゃなくて、年下？



そんな奴、いたっけな…



「雅紀、今日は飲むか？」

「慰めてくれなくていいから…
はぁ、もぉやだぁぁぁ！」



雅紀がスマホの画面を見て
はぁってため息をつく。



ちらっと見えたスマホの画面。



『和くん』



…誰だろ？



俺の知らない奴だから
雅紀を助けてやれないな…



「じゃーね、翔ちゃん…」

「おう、またな！
元気出せよ！らしくねぇぞっ」



俺が雅紀の背中をばんっと
叩いたら雅紀は「ありがとう」
って潤んだ瞳で言った。



改札に駆け込む雅紀の背中が
なんだか小さく見えた。