甘く、苦く
第47章 翔潤【Happiness of the from】
「よっ、潤。
お疲れ。今帰り?」
俺の背中をぽんっと叩くのは
俺の愛しい人……翔さんだった。
恥ずかしくて曖昧な返事しか
返せなかった俺に翔さんは
優しく微笑んだ。
「じゃ、一緒に帰ろーよ。
潤、マネージャーと来たんでしょ?
ついでに俺ん家で飲まね?」
「えっ、いいの?」
「いいよ。
話したいことあるんだよね。」
翔さんは爽やかな笑顔を残して
楽屋に戻っていった。
…かっこいいなあ。
爽やかなんだけどたまにドジだったりする。
けど、そのギャップにやられて
また好きになる。
その繰り返しなんだよね。
「潤、お待たせ」
「ま、待ってないよ?」
紺色のコートを身に纏い爽やかな笑顔の
翔さんに、不覚にも胸が高鳴ってしまった。
「行こ」って、俺の目の前に
手を差し出す翔さん。
「え……手…?」
「いや?いつも仕事でしてるじゃん?」
…ちょっと胸が痛くなった。
そうかあ…俺は仲間としてしか
見られてないのか…。
そう思うと、少し暗い気持ちになった。
「ほら、行くぞ」
「あっ…」
翔さんに手を握られて
駐車場まで歩く。
スタッフさんに「嵐さんは仲が良いですね」
なんて、言われながら。
その度、翔さんは爽やかな笑顔を返すから
女性陣がキャーキャー言う。
…こんなことで嫉妬してる俺が
いやになる……。
「……潤?」
「え?」
「具合でも悪いの?」
翔さんが俺の額と自分の額を
コツン、と合わせた。
わ…顔、近すぎ……。
俺の顔が熱くなっていくのが
嫌でもわかる。
「熱はない、けどさ…
顔、赤いな、お前。」
「ご、ごめんっ」
「謝んなくてもいいよ。
シートベルトした?」
翔さんは俺の頭をぽんぽんっと撫でて
車を発進させた。
これが翔さんと俺だけの空間。