甘く、苦く
第48章 モデルズ【反比例・比例】
潤から離れたのは
自分なのに。
…なのに。
なんかわかんないけど、
涙が溢れてきた。
「ふぇっ…」
あぁ、もう。
これから仕事なのに。
こんなに泣いたら、
目、腫れちゃうじゃん。
泣き止んで欲しい。
でも、感情のコントロールは
自分でできなくて。
「うぇぇ…」
ボロボロと大粒の涙が
服を濡らす。
…こんな俺、嫌い。
いつも自分が嫌いだった。
だって…。
笑顔でいればなんとか
なるとか思ってたのに
なんとかなんなくて。
誰よりも努力したって
できるようになれなくて。
全っ然…だめ。
いつも俺の上にいるのは
俺より努力してないのに
才能だけで上がってきた奴。
それを見てたら、
努力なんて面倒臭くなった。
そんなとき、声をかけてくれたのは
潤だった。
…優しかった。
話してたら止まんなくなってた。
「うぇぇ…っ」
涙より鼻水の方が出てきて。
もう、誰にも顔合わせたくない。
こんな俺、見られたくないよ。