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甘く、苦く

第48章 モデルズ【反比例・比例】






びっくりしたような顔をして
俺を見上げる。



「じ、じゅ――「ごめん。」



雅紀の言葉を唇で遮った。

久しぶりの感触。

甘くて…柔らかい。



「な、なにす…」



スタッフさんがいるのにも関わらず
俺は雅紀を壁に押し付けてキスを続けた。



「じ、潤、待って…。………なんで?」



雅紀の瞳は悲し気に揺れていた。


目尻に涙を一杯溜めて
俺を見上げた。



「…なんでって…。
好きだからだよ。」

「じゃあ、なんで翔ちゃんと…。
俺が好きなら…そんなことしないでよ。」



雅紀は弱々しくそう呟いた。

…違う。



「優しくされると…逆に辛いの。
もう…やめてって言ったじゃん。

勘違いして傷付きたくない…っ。」



雅紀は壁伝いにずるずると
落ちていった。


…まだ、諦められない。



「雅紀が好きだよ。
全然…嫌いになれない。」

「…潤…」



俺は座り込んでる雅紀を
抱き締めて涙を拭き取った。



「もう一度…やり直そう?
雅紀、お願い。側にいて…」

「っ…潤~っ!」



雅紀は大粒の涙を
ボロボロ溢しながら
俺に抱きついた。


…久しぶりのこの匂い。

全て、俺のもの…。

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