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甘く、苦く

第48章 モデルズ【反比例・比例】






全く状況が理解できない。



どういうこと?



「…入って」

「え。嫌だよ…」




これから何が始まるのかもわからないのに
ホイホイ入る奴がどこにいるの?


なかなか入らない俺を見て
潤がため息をついた。



「先に、着替えようか?」

「え、あ、うん…」




潤に手を引かれて
衣装部屋まで
連れていかれた。




「衣装さん来ると思うから
来るまでじっとしててね。」



え?


ええええええ!?



…あ、そういうこと?

仕事で帝国ホテルの取材ってこと?

そういうことだよね。

うん、そういうことにしておこう。


うん…。

一旦落ち着こうかな。






って、できるかっ!


仕事なのに種明かし!?
そんなの意味わかんない。


どういうこと?

潤は…何を考えてるの?


翔ちゃんと付き合ってるとか?

え、だからバイバイってこと?


ここに泊めてやるから
俺と別れるってこと?

え?ヨリを戻したのになにこれ。



「松本様ですね?」

「え、え…?」

「松本様…と書いてあったんですが」



…た、確かに潤は松本だけど。

俺は…松本じゃないよ?



「もしかしたら…聞いてないんですか?」

「え、あ、はい…」



衣装さんは事情を説明してくれた。





「ぷ、ぷろぽぉずぅ!?」



びっくりしすぎて、
平仮名になってる俺。


え、プロポーズって…。



「はい。私、衣装担当の佐藤と申します。
松本様の奥様の担当者でございます。」


…あぁ、そういうことね…。


なんか、一生分の恐怖と
焦りを使った気がする…。

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