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甘く、苦く

第49章 磁石【move on now】session 2






…やっぱり櫻井さんに
料理をさせちゃダメだった。

荒れに荒れたキッチン。

焦げ焦げのトースト。

割れたマグカップ。



「に、二宮…?」

「ん?」

「…ほんと。
すいませんしたっ!」

「いや、別にこうなることは
目に見えてたからね?うん。

全然いいよ?はい。」



俺は櫻井さんを
見下ろすようにして
語りかけるように言った。



「…ごめんな。

…味噌汁は即席ので
許してくれ…。」



俺たちの今日の朝ご飯は
俺が作った目玉焼きと
即席味噌汁とご飯。


…こんなの毎日食べてたら
栄養バランスが崩れそう。



「櫻井さん…
今日買い物行ってくる。」

「ん、よろしくー。」



櫻井さんはちゃっちゃと食べて
たーっと風のように行ってしまった。


…あーあ。

もう行っちゃった。


櫻井さんと過ごせる
大事な時間なのに。


櫻井さんは…
大事な時間とか、
思ってないのかな。

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