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甘く、苦く

第50章 お山【君のためにできること】

櫻井side



「ふぅ…。」


やっと仕事が一段落して
寝れるって安心してたころ。


寝室からどたんって
大きな音がした。

何事かと思い、急ぐと
さとっさんがベッドから落ちてた。


…しかも寝てるし。


「ん~…」


…ベッドから落ちても
起きないって、
相当疲れてるのかな。


「…お疲れさま。」


俺はさとっさんを抱き上げ、
ベッドに乗せた。


ふわふわの髪の毛を撫でながら
俺はさとっさんの寝顔を見ていた。


満たされた気分になる。

心のタンクが…
もうあっという間に
満帆になっちゃうから。


決壊寸前のダムみたいだ。



「寝るか…」


さとっさんの足元にある
薄い布団をかけて、
俺は夢の中に飛び込んだ。






とても幸せな夢だった。

俺の隣で笑ってるさとっさん。

ふにゃふにゃとお菓子のように
崩れそうな笑顔。


さとっさんの左手の薬指には、
シルバーのリングがはめられていた。

横の俺の左手の薬指にも…



って、ええええ!?


びっくりしすぎて、
起きてしまった。



…あれ?

俺、さとっさんと結婚したいの?


………。

もちろん、結婚したい願望は
あるんだけど…。


…早すぎないか?



俺、さとっさんと結婚したいのかな。


「どうなんだろ…。」


さとっさんの寝顔を見ながら、
そう呟いた。

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