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甘く、苦く

第50章 お山【君のためにできること】

相葉side



正直、リーダーが
家に来てくれたとき
すっごい嬉しかった。

だって、俺、リーダーに
片想いしてるもん。


誰にも言ってない。
誰にも言えない秘密。


多分、親友でもあるニノにも
俺は言えない。


だって、リーダーには恋人兼、
仕事仲間の翔ちゃんがいて。

俺の入る隙間なんて、
一ミリたりともなくて。


それがすっげえ悔しくて、
リーダーが家に来てくれたとき
もう飛び上がりそうだったんだ。


でも、こんな日に限って
仕事が入っていて。

独りぼっちにしてしまった罪悪感と、
今日、この時間に仕事を
入れてしまった自分が恨めしい。

けど、そんな理由で
休めるわけなくて。


リーダー今何してるかな、とか、

早く帰れないかな、とか、

いっそこのまま翔ちゃんと
別れちゃえばいいのに、とか、


俺らしくない考え。

こんな俺は嫌いだ。


他人の不幸を喜ぶなんて、
最低なヤツ。

そんなヤツだから
リーダーは振り向いてくれなかったんだ。


真っ直ぐで純粋な翔ちゃん。

ちょっと抜けてるところも
可愛らしくて愛らしい。


ただうるさいだけの俺とは
大違いの性格。

みんなをまとめる力とか
人の話を聞く力とか。


全部俺にはない能力。



「…あ、」



自分の部屋の扉から出てくる二人。

それは紛れもなく
翔ちゃんとリーダーで。



…そっか。
仲直りしたんだ。


…なんで俺、残念がってるのかな。

メンバーの幸せなことを
妬むなんて、最悪だ。



思い気持ちのまま玄関の扉を開けると
優しい匂いが鼻孔をくすぐる。


…なんだろこれ。



「あ、リーダー…?」


置き手紙があって、
その横に野菜炒め。


……作ってくれたんだ。
俺なんかのために。



「…勘違いするじゃん。」



嬉しいけど悲しい。

矛盾してるけど、
本当のこと。


俺がリーダーを好きになる度、
リーダーは翔ちゃんを好きになる。

…反比例してるんだよね…。


でも、好きな人が幸せなら、
それはそれでいっか…。


ぽろっと溢れた熱いモノを
俺は拭えなかった。

そんな気力もなかったんだ。

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