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甘く、苦く

第50章 お山【君のためにできること】

櫻井side



寝ちゃったかぁ…。

すぅすぅと寝息を立てる
背中の上に乗ってる小動物。


時折モゾモゾと動き、
寝言を言ってる。

それがどうしようもなく可愛くて。


家に帰ったらぎゅーってして
ちゅーってして、
あんなことやこんなことをする。

うん。絶対そうする。



…それから、アレも。


「…んぅぅ?
しょー、ちゃ?」

「あ、起きた?」


「んーっ」て
まだ眠たそうな声が聞こえる。

でも、そんな声すらも愛しくて。


さとっさんをおんぶしたまま、
家路を急ぐ。



さとっさんは下ろしてって言うけど
絶対下ろしてあげない。

だって、今日、
本当は午後休みだったのに、

さとっさんと全然
いちゃいちゃできなかった。


だから、ぜーーったい
下ろしてあげない。

少しの時間でも
離れるのが惜しいんだよ。


馬鹿?

んー、そうかもね。

さとっさんが好きすぎて、
俺は壊れ始めてる。


もう隣にいないと
とにかく心配なんだよ。


「…ふふ、」

「なーに笑ってんの?」

「だってぇ、翔ちゃんの髪の毛
くすぐったいんだもん。」


言いながら頬を
俺の髪に擦りつける。

…もー。


「んふふ、翔ちゃん大好き。」

「俺は愛してる。」

「なっ…。
愛してるもん!俺の方が!」

「えー?俺の方が愛してるね。」

「むううう…。」


さとっさんの顔は、
全然見えないけど

どんな顔しているのかは
大体想像できる。



だって、好きなんだもん。

あ、訂正。

愛してるんだもん。

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