甘く、苦く
第52章 翔潤【曖昧love】
「もう無理なんだってば…。
潤とやってける自信がないから!」
そう言い放ち、
楽屋にまた戻る。
…ああ、やってしまった。
嬉しかったのに。
わかんないよ…。
「…わかんないよぉ…」
俺の放った声は
誰の耳にも届かない。
そんな日が幾日も過ぎ、
俺たちの距離も…変わった。
『翔くん』から『翔さん』になった。
『潤』から『松潤』になった。
いいんだ。これで。
俺が決めた道なんだから。
もう戻れないなら、
逆に開き直ってやる。
「あぁ~、くっそだりぃ…」
「翔さん、言葉遣い悪いですよ!」
「にのにはわかんねえだろーよー。
いいよなぁ。お前らは。
ノロケ話を毎回聞かされてる
俺の身にもなってみろよ。」
「ごめんごめん。
だっておじさんだと
すぐに寝ちゃうんだもん。」
だから、あと五分。って。
何回目だと思ってんだ。
もう三回は言ったよな?
「…こんな話できるの、
翔さんしかいないの。
Jは近寄りがたいし、
おじさんは寝ちゃうし。
相葉さんなんかに言ったら、
襲われちゃうんだもん…」
「あのなぁ…」
だから、翔さんなの。って
付け足すにの。
俺はこんな日々を
まだ続けるのだろうか…。