甘く、苦く
第53章 磁石【move on now】session 3
「んう、う……っ」
「かず、力抜ける?」
ふうふうと息を吐くと、
翔さんがもっと入る。
もうあんまり痛みはない。
だけど、…キツい。
異物感が半端ない。
「…かず、こっち見て。」
「しょお、さん…」
なんかもういろんな感情が
ごちゃ混ぜになってわけわかんなくて。
瞬きすると涙が出てくる。
「泣くなよ。
かず、泣くな。」
「泣い、てない」
「嘘つけ。」
とっても優しくて、
甘いキス。
翔さんはいつだって優しい。
「…ん、ぁ、しょ、さ……」
「ん?」
「ギブ……」
「えー」
「えーって…
もう二回もシた。」
「まあね。」
腰は痛いし、
なんかもうわけわかんない。
嬉しくて、でもまだ慣れなくて、
少し恥ずかしくて。
行為が終わったあと、
まともに顔を見れないんだ。
「かず、」
「…知りません!」
ジタバタ暴れる俺の腕を掴み、
引っ張ってキスした。
ちょこんっと触れるだけのキス。
キスが終わったら、
翔さんの腕の中に収まってた。