甘く、苦く
第54章 末ズ【ゲーム<?】
それはきっと、大切な人ができたから。
前の俺なら、時間に
余裕なんて持たなかったのに。
今の俺は、少しの時間でも潤くんと
一緒にいたいから余裕を持ってる。
「ニノ、コーヒー飲む?」
潤くんが俺の肩をぽんっとタッチする。
そのタッチだけで、
もう俺の頭はショート寸前。
赤くなった顔を隠すように、
俺は俯いて見せた。
「コーヒー要らない?」
「んーんっ…飲む、けど…
またあとで…。」
「あとでって…
あと十分経ったら行かなきゃだよ?」
「…知ってる。」
顔が赤くなってるのが
恥ずかしくて。
もう、なにも言えない。
そんな俺を見て、
翔さんが笑い出す。
「ニノ、顔真っ赤だよ。」
「へっ!?」
…知ってるもん。
恥ずかしくて反論もできない。
「ふふ、ニノ可愛い。」
「可愛く、ないっ!」
潤くんの肩をドンっと押して、
ベーっと赤い舌を出す。
そしたら、今度は潤くんの顔が赤くなる。
「ニノ、その顔はだめだから…」
「え?」
「あーもうっ、だめなの!」
潤くんは俺の手を引いて、
楽屋を出た。