甘く、苦く
第54章 末ズ【ゲーム<?】
そろそろ体力的に
疲れてきちゃって。
うたた寝を何度かした。
だけど、その度に
潤くんが夢に出てくるもんだから。
起きちゃうんだよねぇ…。
「…まだかなぁ……。」
もう何度めの言葉だろう。
泣いちゃいそうになって、
上を向いた。
だけど、涙は溢れてきて。
それくらい、辛くて。
悲しくて。
潤くんに対する嫌悪感まで
出てきちゃって。
なんで、恋人の俺を
優先してくれないんだろうって
悲しくなってきて。
どうせ、そんなもんだったのかな、
とか。
大切にされてないんだな、
とか。
勝手に傷付いて、泣いて。
もう辛くて、我慢できなくなって。
家を飛び出した。
「寒っ……」
夏、なんだよね。
なにも羽織らずに飛び出してきたから、
薄手の長袖一枚と七分丈のズボン。
それじゃさすがに寒くて。
公園のブランコに座る。
きぃっとちょっと嫌な音を立てる。
耳に残る音。
きぃきぃって。
俺が動く度、きぃって鳴る。
別にそんなことどうだっていいけどさ。
「…あ。」
また、涙が溢れてきそうだったから、
上を向いた。
そしたら、星空が見えた。
涙で、うまく見えなかったけど。
星が瞬く。