甘く、苦く
第54章 末ズ【ゲーム<?】
潤くんのこと思うと、
きゅうって胸が締め付けられる。
今、何してるのかな…。
どーせ、綺麗な女優さんと
お酒飲んでるんだろうな。
オシャレなバーとかで。
きゅうきゅう締め付けられて、
胸が痛くて。
ぎゅっと胸を押さえて、
深呼吸を何度かする。
そうしたら、少し落ち着いて。
だけどやっぱり、
考えるときゅうって。
そんなことを何度か繰り返してたら、
潤くんから電話。
「和っ、ごめん…っ!」
「…っ…潤、くん…」
「今、どこ!?」
「こーえんっ、」
「行くから、待ってて!」
潤くんが来るんだ。
別れ話と一緒に?
きっと。そうだ。
こんな時間までどっか行ってたんだもん。
俺のことなんてどうでもいいよね。
そうだよね。
俺なんかいなくたって、
楽しい人生は送れるよね。
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら
泣いてたらじゃりって後ろで聞こえた。
泣いてるとこを見られたくなくて、
長袖で涙を拭いた。
「和、」
優しい声が聞こえて、
やっぱり涙が出た。
ゆっくり振り返ると、
汗だくの潤くんと、手には綺麗なお花。
「よかった…」
「ふっ、うぅ…」
やっぱり、俺、潤くんじゃなきゃ嫌だ…。