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甘く、苦く

第55章 にのあい【俺だけのDisco Star】

二宮side



「…あ、」


…寝過ごした。

収録まで1時間。

ここから局まで45分。


「雅紀…?」



寝室にも、キッチンにも、リビングにも
雅紀の姿はなかった。

…行っちゃったのかな…。


なんて、ため息をつきながら
クローゼットを開けた。

別に格好なんてどうでもいいけど。


自然と、手は雅紀の買ってくれた服に
動いてしまう。

お気に入りのパーカーよりも、
もっと好き。

どんなに高い服よりも、
絶対にこれが好き。


…ご飯は…うーん。いらないや。

とにかく急ごう。


みんな、心配してるから。



車にエンジンをかけて、
局まで飛ばした。

普段はあんまり使わないけど、
今回は特別。うん。


大の大人が寝坊なんて恥ずかしいけど。




それは真実だから。

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