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甘く、苦く

第56章 翔潤【隣にいたい】






翔くんとは学年も違うし、
同じ学科なわけでもない。

俺は普通科だけど、
翔くんは頭がいいから
国際教養科だから。

英語ができない俺と違って、
できる翔くん。

文武両道で、
とりあえず爽やか。

笑顔がカッコよくて、
たまにドジで。

シュートを決めたときの
あの嬉しそうな横顔。

いつもいつも、
すぐ近くで見ていた。



…見ていたのに。

ほら、サッカー部って
マネージャーとかいるじゃん。

それも、可愛いの。

そんなのがゴロゴロいるから、
翔くんがとられちゃいそうで
怖いんだ。


「櫻井くん、タオルどうぞ!」

「あ、ありがと。」


明らかに翔くんに
好意を持ってる人が
わんさかいる。

それが許せなくて。



「しょーくんっ…」


休憩のときは、
できるだけ傍にいる。

これが俺のできること。



…だけど。

満足なんて、
できるわけない。




もっと、近くにいたい。

だから、翔くんと同じ
高校にしたのに。

これじゃ、変わってないよ。

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