甘く、苦く
第56章 翔潤【隣にいたい】
翔くんの隣にいたいって
思うほど、
独占欲が強くなる。
俺じゃなくなるみたいな感覚。
「潤、玄関で待ってる。」
「うんっ」
汗でぴったりと張り付いた
翔くんの前髪。
その前髪をわしゃわしゃと
タオルで拭いている。
「櫻井くん、お疲れ。」
なんて、可愛くて、
綺麗な黒髪の子が
翔くんに微笑みかける。
「あぁ、お疲れ。
スポドリ、今日も美味しかったよ。
明日もよろしくね。」
「はあーい」
翔くんが爽やかに
カッコよく言うから
あの子、また好きになっちゃう。
翔くんが告白されるのも、
時間の問題だ。
それまでに、翔くんに
振り向いてもらわなきゃ。
更衣室に向かう途中、
ニノに会った。
「あ、潤くん。
サッカー終わり?」
「うんっ。和も?
野球終わったの?」
「うん。」
雅紀と帰るから、
先行くね、なんて言う。
…二人は、付き合ってる
訳じゃないけど
仲が良い。
多分和は、相葉さんのことが
好きだ。
バレバレだからね。