甘く、苦く
第56章 翔潤【隣にいたい】
「翔くん、なんでここって
わかったの?」
「GPSだよ。」
「あっそうか!
さすが翔くん!」
やっぱり、頭いいなぁ。
羨ましい。
「あ、潤、空。」
「ん?」
顔を上げると、
星が空一面を埋めつくしていた。
すっごい…
「綺麗だな。」
「うん…」
すっごい、ロマンチックだなぁ。
俺、翔くんと、大好きな人と
見れて幸せだなぁ。
頬が緩むのが、
嫌でもわかっちゃう。
ふふ、嬉しい。
「潤、行くぞ。」
「うんっ」
翔くんの背中を追って、
また走り出した。
「潤。」
「ん?」
「…また明日。」
翔くんが、少しはにかみながら
俺の頭を撫でた。
顔が熱くなるのがわかった。
「しょしょ、翔くんっ!?
な、なんでっ!?」
「…なんでも。またな。」
…あれ、翔くん……。
暗がりだから、
はっきりはわからないけど。
…耳が、ほんのりと
色付いてる気がする。
もしかしたら…
翔くんも?
……近付きたいよ。
こんな関係、
もうやめにしたいよ…。