甘く、苦く
第56章 翔潤【隣にいたい】
それと同時に、
寂しさが沸き上がった。
離れてくのかな、って。
心配になる。
「…ねぇ、潤。」
「ん?」
「……大人になったね。」
微笑みかけると、
途端に赤くなる顔。
「ばっバカ。そんなことない。
翔くんの方がよっぽど大人でしょ。」
って、反論してくる。
…なんだろ。
この、大切なモノ感は。
「ごめんね、翔くん……
寝坊しちゃって…」
「知ってる。
潤、朝弱いもんね。」
って言うと、
また、顔が赤くなる。
「ごめんーっ…」
「あっ、ちゃんと野菜食べろよ。」
残されたサラダが目に留まり、
指摘をした。
「う~…」
「偏食してると、
体作れなくなるぞ」
釘を刺しておけば、
渋々とサラダを食べ始めた。
「ドレッシングとか、
かけてもいいけど
低カロリーのな。」
「…フレンチドレッシングは?」
「ダメ。青じそでもかけてろ。
生が一番体にいいけど。」
「ぶー…」
唇を尖らせながら
サラダを食べる潤。
…ほら、この弟感。
スゲー好き。
「んー、食べ終わったぁ。」
ふうって一息つく潤。
とても微笑ましくて。
「ほら、歯磨き。」
「わ~ってる」
まだ眠いのか、
欠伸をしながら
洗面所にいく。
その度、パタパタと
スリッパが音を鳴らす。
…やっぱ、可愛い。