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甘く、苦く

第56章 翔潤【隣にいたい】






確かに、潤のことは
好きだけど…。

そういうんじゃないんだ。


違うのに。



俺に見せる一つ一つの
表情とか。仕草とか。

俺の言動一つで
コロコロ変わる表情とか。



全部、特別…だった?


「…んなわけないか。」

「なにが?」


潤がどうしたの?って
俺に聞いてくる。

俺より身長が低いせいか、
少し上目遣い気味だ。


「…なぁ、潤。」

「んー?」


ピロンピロンと
鳴り止まない着信音。



「……。」

「翔くん?」


やっぱり、俺よりも…
いいヤツなんて、
そこら辺にいるんだ。


「翔くん?どうしたの?」

「…ごめん。なんでもない。
忘れて。」







無理して、笑顔つくって。

俺は一体、何をしたいんだろう。
何をしてるんだろう。


「ふうん。」


ちょっと怪しげに、
でも、笑顔で

「じゃあいいや。」

なんて、言わないでくれ。



なんだよ、これ。









俺がまるで、潤のことが
好きみたいじゃないか。









……え?



俺が、潤のことを……


途端、熱くなる顔。



「……は?」




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