甘く、苦く
第57章 お山【大切な君へ】
チャイムを押さずに
合鍵で家へ入る。
「…ねぇ、」
「ぅわっ!!っんだよ。」
「待って、怒んないで!」
大野先生が…ううん。
智くんがキスをしようとした。
だけどそれを避けて、
壁際に追い詰めた。
「しょ、しょーくん?」
「…いつまでも、
子供扱いしてんなよ。」
「……。」
黙りこくってしまった
智くん。
「ぶっ、あははっ」
「は?」
「しょーくんっ、おバカ」
ゲラゲラ笑い始める智くん。
「なっなんで笑うんだよ!」
「んふふ、顔赤くして可愛い。」
ふにゃっと可愛く微笑む
智くん。
「…ねぇ、しょーくん。」
「え…?」
ぐっと肩を掴まれ、
そのまま廊下に押し倒された。
「酷くされるのと、
優しくされるの、
…どっちがいい?」
優しい智くんの顔が
黒ずんで見える。