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甘く、苦く

第57章 お山【大切な君へ】

大野side



「…ふっ、うぇ、」

「あーなんで泣くのかなぁ。」




…前々から、言ってたじゃん。


「やっぱり、行ったらやだ…
智くんがいないとやだ…」

「つってもなぁ…
前から言ってたじゃん。」

「でもやだ。」



ぎゅーっと強く抱き締められて
固定されてる体。

…ほんっと、可愛いなぁ。


ポロポロと溢れる涙が
俺のシャツを濡らす。





…俺まで辛くなるじゃん。

俺、悪いことしてねえのに。


「…智くんが泣いてちゃ、
俺泣けないじゃん…。」


なんて言われた。


「泣いてねえよっ…」

「嘘つき…」



ぐっとしょーくんを引き寄せて、
ふっくらとした唇に口づけた。






「んっ…」



最後に聞いた、
しょーくんの甘い声。




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