
甘く、苦く
第63章 磁石 【move on now】session 4
「翔ちゃん、
俺たちうまくやってるからさ
心配しなくていいよ。」
「…そんなこと、」
「あるから言ってるんだよ?
順調に進んでるんだ。」
いつもより、
妖しげな笑みを浮かべた雅紀が
俺の目の前にいて。
こんなヤツだったのか、
それとも、俺がこんなヤツに
してしまったのか。
そう考えたら、
心苦しくなって。
「…っ、」
「…和くん、きっともうすぐ
堕ちるから」
にやり、と不敵な笑みを浮かべ
俺の首に手をかけた。
「死にたくなかったら、
わかるよね…?
あぁ、それとも死にたいかな?
和くんが生き甲斐だったもんねぇ?」
にたぁ、とまた不気味な笑いを
向ける雅紀。
首に重みがかかり、
目の前が白くなってく。
…あぁ、これは俺への罰か。
二宮を裏切った、
俺への罰なんだ──…
