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甘く、苦く

第63章 磁石 【move on now】session 4






堪え切れない涙が
溢れてきて。

フローリングの床を
濡らしていく。



「…え、和くん……?」


そんな俺を見て、
びっくりしたような
声をしたまーくん。


「バカ!やり過ぎだよ!
まーくんの、バカぁ…」



もうよくわからなくて、

このまま翔さんが死んじゃうんじゃ
ないかなんて思って。


このままお別れなんて
絶対嫌だ。


「翔さぁぁん…」


ぼろぼろと大粒の涙が
溢れ出る。



寂しさ

怒り

悲しさ

パニック



すべてが一緒になって
出てきてしまって、
自分でも感情のコントロールが
できないんだ。




…あぁ、なんだ。





俺、やっぱり翔さんが
好きなんじゃん。




「和くん、なんで…」

「…まーくん、ごめっ。
俺ぇ、やっぱりしょぉさんが
好きなんだよぉ…」


涙でぐちゃぐちゃの
顔なんて見られたくないから
思わず顔を伏せた。


「……そ、っか。」



やっといつも通りの
まーくんに戻って、
俺にいつもと変わらない
優しい笑みを見せた。



「…じゃあ、翔ちゃんに
謝んなきゃね……」


顔は笑っていたけど、
瞳はまるで笑っていなくて、
背筋がぞぉっ寒くなった

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