
甘く、苦く
第63章 磁石 【move on now】session 4
「…一緒に暮らしても、
いいですか、」
「……あぁ、いいよ。」
二宮の腰を引き寄せて
見つめ合う。
「ん、」
ちょっと水っぽい音が響いた。
目を開けたら、顔を真っ赤にした
二宮がいた。
「…上書き、するか。」
「うん、…して、」
あぁ、どうしてお前はこうも、
興奮材料をくれるんだろうか。
二宮の体をベッドに沈め、
キスを何度もする
「ん、んん、」
右手は強く握ったまま、
左手で自分の体を支える。
「ん、ふ…」
キスが終わって、
二宮の額にコツンと
頭をつけた。
…あぁ、人の温かさ、
これは一体いつぶりだろうか。
「…唇は、上書きできたね…」
「ん、…奥まで、」
…あぁ、だから──…
「いいのか?」
「…うん、翔さんだから、
大丈夫だよ。」
…コイツの優しい笑みが、
俺の傷付いた心に少しずつ
染み込んでいく。
