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甘く、苦く

第64章 にのあい【sunshine】






俺の中でぷつんっと
なにがが切れる音がした。


…不良だなんて、
上辺だけのくせに。

人なんか殴れないくらい、
優しくて臆病なくせに。


反抗期の延長?


「ね、かず!」

「なに、」

「やっぱり、やだっ…」

「…昨日はあんなに
なってたくせに?」


いつもは強気な兄貴の上に
跨って、服を脱がせてる、
それに、隣の部屋では親が寝てるってのに。


そんな状況に、
俺は興奮していて、
今にも溢れだしそうな
この感情が抑えきれなくて。


「か、和、」

「…もう、いいじゃん。
彼女となんか別れろよ…
俺の方が…いいから、絶対」


彼女なんかより、
俺はもっともっと
お前のこと知ってんだよ。

昔っから、ガキの頃から。


ずっと一緒なんだから。
鬱陶しいくらい一緒なんだから。



「…いいじゃん、
そんなの…和に、なにがわかるんだよっ」

「なんもわかんねえから
言ってんだよ!

彼女なんかより、
俺の方が絶対にいいんだよ!」

「っ…バカ、何勘違いしてんだよ!
彼女なんていねえよ!」



は?


「なに言ってんの、
この前、」

「いるなんて言ってないだろ!
そもそも!和は、小さい頃から
ずっと俺のもんなんだよ!

なのに彼女とか作りやがって!
グレるの、当たり前だろ!」

「…なんだよそれ。
……バカ、」

「うるせえよっ
お前のせいだ!」


顔を赤くして、
瞳を潤ませてる。

…あぁ、もう。


俺にそんなに注目されたかった?

なら、傍にいてくれりゃ
よかったのに。

それだけで充分だったのに。



愛情表現下手すぎるんだよ

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