甘く、苦く
第64章 にのあい【sunshine】
「…あー、なんか
ヤるき失せたわ」
「もともとヤるきなんて
俺にはなかったし…」
「ていうか俺、
兄貴の茶髪より黒髪の方が
好きなんだけどなー?」
「うっ、」
「その色、落としてきてよ。
似合ってるけどさ
…俺は黒髪の方が
好き、だし?」
「…仕方ねえな」
「不良もやめるんだよ?」
「もともと不良なんか
やってねーし。」
「じゃあなにやってたんだよ。」
「…それは秘密」
「ずるい」
ふたりで夜が明けるまで
他愛もない話をしてた。
…ん?
じゃあ俺たち、
これで恋人ってこと?
「…恋人、だよね」
「…うん、和がよかったら…」
「いいに決まってんだろ
だったらシねえよ」
「ふふ。そうだね」
…あ、
ひさびさに兄貴がちゃんと
笑った顔を見た気がする。
「…じゃあ、高校も来いよ。
一緒に登下校するんだからな、」
「やだよ。そんなの。」
「なんで?」
「やだよ。
…俺、和に襲われちゃうし」
「そんなことするわけねーだろっ」
そこまで飢えてねーよ