甘く、苦く
第64章 にのあい【sunshine】
「あれっ?
和の友達?」
「あっ、お邪魔してます!」
「ううん、いいよ〜。
ゆっくりしていってね」
柔らかい笑みを浮かべて
部屋からそそくさと出てく
兄貴の後ろ姿を見たら、
無性に抱き締めたくなった。
…あぁ、
俺ほんとに兄貴のこと好きなんだな。
バカらしくなる。
ほら、なんかさ。
干渉なんてしたくもされたくも
ないけど、兄貴なら別だ。
すげえ知りたい。
奥まで知りたい。
全部を知りたい。
いやでも、
こっちは兄貴のことを
知ってるつもりだけど。
まだまだ知らないとこなんて
いくらでもあるんだろうな…なんて
考えたら、胸がチクリと痛む。
「和?
きーてんの?」
「っえ、ごめん。」
「これ、わかんないんだけどさぁ、
どうしたらいい?」
「あーっと、xに3を代入して…」
「あー!そういうこと!」
納得したようにうんうん頷く
潤を見ながら、
ふうっと溜め息をついた。