甘く、苦く
第65章 お山【I LOVE YOU】
「でもこの前!
松潤に高いチョコレート
貰ったんだからな!」
「それ、俺も食べた。
美味しかったね、あれ。
でもたまにはさ、
ポッキーでも
いいじゃん?」
「…しっかたないなぁ。」
俺はポッキーよりも
プリッツ派だ。
酒のつまみにもなるから。
「んー、ポッキーひさびさ」
「俺も」
ポッキーよりも食べたいものは
目の前にある、いや、いるのに。
…なぁ、翔くん。
いつになったら俺たちは
結ばれる?
「…智くん、
先に寝てていいよ。
俺、お風呂入ってくるから。」
…やだ。
「智くん?」
今日だけ、
俺の我儘聞いてよ。
「…どうしたの?
明日朝早いでしょ?」
……ダメだ。
臆病な俺は、
その次の言葉が見当たらずに、
言えないんだ。
「…ごめん。
もう寝る…ありがとう。」
「うん?
じゃあおやすみ。」
キスもなく、
微笑みだけ。
また、俺の気持ちは
伝わらないのか。