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Decalogue

第5章 贖えない因果の連鎖

校門から学生たちが吐き出されていく。
その中をスカートを揺らしながら長い黒髪をなびかせて女の子たちと歩いていく優花。
「今時ラブレターなんてウケる」
ひとりの女の子が笑いながら言い、もうひとりの女の子が優花の持っていた手紙を奪った。
「優花に手紙書けるってすごい勇気だよね。中身読んでみた?」
「もう、返して」
手紙を取り上げようとすると、はしゃぎながら優花に届かないように高く手を上げる。
「凌生ってさ、オタクの引きこもりでしょ?」
「そうなの?」
「とにかく存在がキモいよね」
女の子たちは口を揃えて小さく笑いあう。
「もういいでしょ?まだちゃんと手紙読んでないし返事しないと…」
女の子が優花に手紙を返すと真顔になって
「返事とか凌生が調子に乗るだけだよ。マジやめなよ」
「そうだよ優花。どうせ断るんでしょ?こんな手紙なんて気持ち悪いから捨てなよ」
「…うん」
言葉に押され優花は思わず返事をした。
曲がり角まで歩いていくと
「私たちこっちだから、またね」
「うん。またね」
手を振って女の子たちと別れると、少し迷って手紙をそっと開けて読んでみると、便箋に詰め込むように長文で優花への思いが書き綴られていた。
怖くなりコンビニのゴミ箱にそっと捨てて歩き出した。
凌生が後をつけている事に気づきもしないで…

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