テキストサイズ

Decalogue

第5章 贖えない因果の連鎖

後ろから気配を消すようにゆっくりと近づいてきている黒いワンボックスカー。
優花がひとりになるとワンボックスカーが停まり、車から降りるなり男は優花に近づいて強引に肩を掴んだ。
優花は後ろに倒れそうになると、男に抱きとめられた。
どこかで嗅いだことのある香水の甘い香りに気付いて振り向くと、それは真聖で
「…お兄ちゃん…どうして…」
優花の顔が歪んでいく。
「やっとみつけた。俺たちを引きはがすために優花をこんな県外に追いやるなんてな。親父が考えそうなことだよ」
「…やだ…だめ…離して」
「いいから来い」
車の側まで腕を引っ張って強引に連れていくと、後部座席に無理やり押し込んで勢いよくドアを閉めた。
後をつけていた凌生は躊躇うことなくタクシーに乗り込み、ワンボックスカーを追いかけた。
追う車は飛ばしていて距離が離れていく。
追いつく頃には見慣れた住宅街…
凌生の住む向かいのマンションの駐車場に入って行った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ