(仮)執事物語
第10章 VACANCE DE L'AMOUR〔葛城〕
チェック・インを済ませると二人は早速水着に着替え、ホテルのプールへと向かう。葛城と寄り添って歩きながらも、葵は従業員達の働きぶりに目を光らせチェックを怠らない。
葛城は、目的を忘れない葵の経営者としての意識を執事として誇りに思いながらも、恋人としては寂しく思った。
折角、邸の者から解放され、二人きりで居るのだ。存分にイチャつきたい。そう思った葛城は、プールサイドのデッキ・チェアで寛ぐ葵を水の中へと誘った。
水の中に入るつもりのなかった葵は苦笑しながらも、羽織っていたパーカーを脱ぎ捨てると、その完璧なプロポーションを露わにする。
透けるような真珠の様な白い肌。たわわに実った柔らかそうな胸。キュッと締まったウエストや臀部。程よく肉が付いた太腿から流れる脚線美が、男達の目を惹く。
布地に隠れている部分が多ければ多い程、その中身への妄想を掻き立てる。逆にワンピースタイプの水着の方が卑猥なのではないかと、葛城は思った。
葛城の近くに居た男が口笛を吹くと、彼は鼻高々に葵に近付き彼女を水の中へと招き入れる。
「皆が貴女を見ていますね?」
葛城がそう彼女に耳打ちすると、葵の身体は恥じらいから一瞬で薄紅に染まった。