(仮)執事物語
第11章 この先もずっと…〔黒崎〕
あれから月日は流れ────
マコ兄はお嬢様の執事を辞め、旦那様の会社で秘書の仕事をしている。私は高校を卒業し、お邸で働き始めた。けれど、マコ兄が寮を出て行ってしまったから、私も寮に入るのは辞めた。その代わり……。
「美味っ!! これも……これも……それも……全部ななが作ったのか!?」
マコ兄の住むマンションで、テーブルを挟んで向かい合って座るマコ兄と私。テーブルの上には、私が作った手料理が並んでいる。それを美味しそうに頬張るマコ兄。私はそれをニコニコしながら眺める。幸せ。
マコ兄はサラリーマンで私は邸の使用人。休みの日が中々合わない二人だけれど、私が休みの日は、渡された合鍵で部屋に入り、マコ兄の為に料理を作って帰ってくるのを待つ。ささやかなお部屋デート。私はそれでも満足だ。
夕食の片付けは二人で。シンクの前に二人で並んで立ち、私が洗ったお皿をマコ兄が拭いてくれる。目が合えば口付けを交わし、火が点いてしまった時は、そのままそこで肌を重ねる事も……。
中々、一緒に居られない二人だから、会える時は気持ちの昂りが抑えられなくて。何度も何度も抱き合ってしまう。
「なな? 今日は一緒に風呂、入ろうな!?」
「えっ!?」
ニコニコしながら、私のお腹の前に腕を回し、髪に口付けてくれるマコ兄。