(仮)執事物語
第2章 柔らかな炎〔葛城〕
すると私の視線に気付いた葛城さんは、ふっと笑って私の肩を抱き寄せる。
「そんなに見つめられたら、こうせずには居られません」
そう言って葛城さんが私の唇を奪う。少しひんやりした唇。私の唇もきっとまだ冷たい。
しかし、それも時期に熱くなる事を私は知っている。深くなっていく口付けに翻弄されながら、体温が上昇していくのを感じた。
彼の舌が、私の舌を捉え絡み付く。唇の隙間から零れ落ちる水音が私の理性を溶かして行く。
「ふふっ。口付けだけでそんなに蕩けそうな顔をなさって……。繋がったらどんな風になってしまうのでしょうね?」
そう言うと葛城さんは、ゆっくりと私を柔らかいラグの上へと押し倒し、また深く口付けた。
私は彼の首に自分の腕を絡めると、必死にそれに応える。彼の掌が服の裾から中へと潜り込み、私の肌をゆっくりと撫で上げると、私の唇から熱い溜息が零れた。
「不安にさせてすみません。先程はブレスレットに嫉妬してしまいました。私よりもブレスレットの方が大事にされる様な気がしてしまい……」
「そんな訳ないじゃないですか!私が大事なのは葛城さんだわ。このブレスレットも貴方がくれた物だから大事にしたいだけなのに……」
彼の言葉に私がそう訴え掛けると、葛城さんは口元を緩めて微笑む。
「すみません。貴女の事となると、どうも見境がなくなってしまうようです」
そう言うと葛城さんは、ブレスレットが揺れる手首に唇を落とした。私はそのお返しに、彼の首に腕を回すと、唇に自分の唇を押し当てる。