(仮)執事物語
第14章 【特別編】ココロとカラダ〔高月〕
"女の悦び"に目覚めてしまった僕は、ある金曜日の深夜、身体が疼いて眠れず、自分で自分の身体を慰めていた。頭の中で、高月の手の感触を思い出しながら、自分の身体を弄る。腰を浮かせて胸の尖りを指先で弾き、肉芽を捏ね回す。全身を駆け抜ける甘い快楽に夢中になってしまい、高月が部屋に入ってきた事に気付かずにいた。
「中に指は入れないのですか?」
耳元で響く高月の声に、目を見開く。声のをした方へ顔を向けると、高月がニヤニヤしながら、僕を見降ろしていた。そして「続けて下さい」と言いながら、高月は椅子を持ってくるとベッドの脇に置き、そこに腰を下ろして長い脚を組んだ。
「やだ……見るな……」
僕は布団を手繰り寄せ、潜り込む。恥ずかしい。自分でしていた所を見られるなんて。それも、高月が入って来た事が分からない程、夢中になっていたなんて。はしたない。軽蔑されたに決まっている。こんな主に馬鹿らしくて仕えていられないと思ったに違いない。僕は布団に包まりながら、羞恥に震えていた。すると、身体に掛かる重み。
「斗夢様、顔をお出し下さい。窒息されてしまいますよ?」
そう言って高月は、布団を引き剥そうとする。僕は顔を見られたくなくて、ギュッと布団を握り抵抗を試みる。しかし、高月は足元の方へ回ると、そこから僕の掛け布団を捲り上げ、僕の身体を触り始めた。
「お身体が寂しいのでしたら、いつでも私を呼んで下さればよろしいのに……」
爪先に落とされる高月の唇。それは踝を辿り、脛、膝、腿へと上ってくる。深夜の静かな部屋に響く、高月が僕の身体に落とす口付けの音。高月は僕の両膝を左右に割ると、内腿へと唇を滑らせる。