(仮)執事物語
第14章 【特別編】ココロとカラダ〔高月〕
期待に高まった身体は、敏感になり過ぎていて。高月の尖らせた舌が、ちょんと肉芽を突いただけで、達してしまう。そこからは天国と言おうか、地獄と言おうか。容赦ない高月の攻めが始まるのだ。達したばかりでドクドクと脈打つ肉芽を吸われ、舌で転がされる。ぴちゃぴちゃと音を立てて舐められ、その音に羞恥を煽られる。しかし、その羞恥が快楽となって、再び僕の肉芽に集まり、更に身体を疼かせる。それが何度も繰り返されるのだ。高月が満足するまで。気を失ったとしても、無理矢理覚醒させられて。
だからと言って常にそうであるかと問われれば、そうではない。僕だって普段は仕事があるのだ。それに支障をきたすような真似は高月とてしない。執事は主の生活を支えるのが務めであるから。高月が魔王と化すのは、決まって休日の前の晩である。そこは弁えているらしい。
今日は休みの前の日だから、朝まで寝かせて貰えないのだと覚悟を決めていた。しかし、何故かあっさりと高月は引いたのだ。僕が不思議そうに高月の顔を見上げると、高月は「お忘れですか? 本日は奥様の誕生日パーティですよ?」と言いながら緩んだネクタイを締め直した。ああ、そうだった。土曜日は母の誕生日パーティが本邸で行われるのだった。当然、僕も身内として参列する予定になっていた。
「奥様のお誕生日をお忘れになるなど、以ての外ですね? これは別にお仕置きが必要です。せいぜい期待していて下さい」
高月は悪魔の様な笑みを浮かべると、僕の身体に布団を掛け直し、額に口付けて部屋を出て行った。高月は僕の身体に触れるけれど、決して僕と繋がろうとはしない。執事としての仕事の一つとして、僕の身体を慰めているのだろうけれど。去り際にいつも落として行く口付けには、何の意味があるのだろうか。その事を考えると、いつも悶々とする。けれど、イカされ続けて疲れた僕は、深く考える余裕もなく、眠りに引き込まれてしまうのだった。