テキストサイズ

(仮)執事物語

第14章 【特別編】ココロとカラダ〔高月〕


 僕が女だと言う秘密を高月が知ってからは、僕の身の周りの世話は、執事である高月が務める事になった。周りには、半年経ってやっと信頼関係が築けたから等と理由をつけて。榊原は「やっと斗夢様のお守から解放されます」なんて憎まれ口を叩いていたけど。そんなワケで、僕の着る洋服も高月が準備する。

 母の誕生日パーティは、昼から身内だけの会食が始まり、午後は客を招いての茶会。そして夜は晩餐会から夜通しのダンスパーティと、ほぼ一日がかりだ。シーンに合わせて服装も変える必要がある為、数着の服を携えて本邸へと向かう事になる。

 僕と高月は、控えの部屋──子供の頃に僕が使っていた部屋──を与えられ、そこで着替える。使用人もシーンに合わせて着替える必要があるのだ。とは言え、使用人は使用人の為の部屋があり、そこで着替える事になるのだが。

 高月は、昼の会食用のスーツを取り出すと、それを僕に着つけた。正直言って、女とバレてから男の高月に着せて貰うのは抵抗があったが、周りは僕を男として見ているのだ。嫌がったら変に思われてしまうので、諦めるしかなかった。

 そう言えば高月は、昨夜の去り際「お仕置きが必要」だと言っていなかったか? それはいつ仕掛けてくるのだろう。着替えの最中だろうか等と警戒していたが、高月は普通に僕の着替えを手伝っただけだった。身内だけの会食を終え、控えの部屋に戻ると今度は茶会用の服に着替える。ここでも、高月は何も仕掛けて来なかった。今日は人も多いし、自分達の邸ではないのだから、ここでは何も仕掛けて来ないだろうと僕は高を括っていた。茶会を終え、再び控えの部屋に戻り、今度は晩餐会用の服に着替える。その後、そのままダンスパーティへと流れる為、これが最後の着替えとなる。高月はここで仕掛けてきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ