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(仮)執事物語

第14章 【特別編】ココロとカラダ〔高月〕


 雨宮は持っていたシャンパン・グラスに口を付けると、グラスの中が空になっている事に気付いた。「もう一杯貰ってくるけど、君も飲むよな?」と尋ねられて僕は頷くと、雨宮は僕のグラスを受け取り室内へと消えて行く。僕は彼を待ちながら、心地良い酔いに目を閉じて、頬を撫でる風を感じていた。その時だった。

 "ヴヴヴヴヴヴ……"

 予想もしていなかった場所が震え、僕の身体はビクンと跳ねる。高月が玩具を取り付けたのは、胸だった筈なのに。今、震えているのは脚の間だ。敏感な肉芽を刺激しているのは、きっと玩具だ。高月を見つけて止めて貰わねば。雨宮が戻って来てしまう。

 僕はキョロキョロと辺りを見回すと、窓からこちらを見てニコリと微笑む高月と目があった。僕が、そちらの方へ歩き出そうと一歩を踏み出した瞬間。

 "ヴヴヴヴヴヴ……" "ヴヴヴヴヴヴ……"

 両胸に付けられた玩具まで振動し始める。

 「……くっ!!」

 僕はその刺激に、思わず身を屈めた。玩具の振動は、無理矢理僕に快楽を与え、敏感な胸の尖りや肉芽を蹂躙する。刺激を与えられたその部分は、否応なしに固くなり、疼き始めてしまう。

 「んっ……ふぅ……」

 僕は何とか高月に止めて貰おうと、顔を上げて彼の姿を探すが、その時、雨宮がグラスを二つ持ってこちらに向かって歩いてくるのが視界に入った。不味い。何とかしなければ。そう思うが、ここで脱ぐわけにはいかない。どうしようかと思っている内に、どんどん雨宮は近付いてくる。為す術がない事を悟った僕は、平常心を保つ以外に手立てはなくて。身を起こすと、懸命に堪えながら、何でもない顔を作った。ビジネスの為に覚えたポーカーフェイス。それは何度も僕を窮地から救ってくれた。だから今夜も……。

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