(仮)執事物語
第6章 聖夜に誓いのくちづけを〔高月+葛城〕
ゆきの手から滑り落ちたスプーンは、更に弾かれ床へと落ちた。それを給仕をしていた葛城が拾おうと、彼女の足元でしゃがみ込む。
すると脚の内側に力を入れ、それを震わせるゆきの脚が見えた。葛城はテーブルの上の高月の顔を見ると、彼はにっこりと微笑んだ。
成程。彼女の隠れた部分に何かを仕込んているらしい。葛城は咄嗟にそう悟った。チラリと横に座っているゆきを見上げると、彼女はギュッと目を瞑り、何かに堪えている様だ。
彼女が耐えているのは快楽。それならば、主人達の遊びに自分も加えて貰おう。葛城はそう思い付くと、白河に後は任せる様に言い、他の仕事をするように伝えた。そしてダイニングには誰も近付かない様に命じた。
葛城は、落としたいスプーンの代わりに新しいそれをゆきに持たせるとテーブルの下に身を潜めた。
そして彼女のパンプスを脱がせると、脚の甲にゆっくりと舌を這わせた。
ビクンと揺れるゆきの身体。今度はスプーンを落とさない様にと必死に掴んでいたが、それが食器にぶつかる音が鳴り響いた。
「ゆき? どうしたんですか?」
向かい側に座る高月が、にっこりと微笑みながら、ゆきに尋ねる。
「身体の具合でも悪いのですか? 呼吸が荒いようですが……」
高月がそう言うと、ゆきは瞳を潤ませて彼を軽く睨んだ。
知っているクセに。スイッチを入れたのは貴方なのに。そう瞳が言っている。
それよりも、葛城だ。夫の居る前で、どういうつもりなのだろう。彼の舌は、彼女の足の指の間を這い、彼女から官能を引き出している。
テーブルの下を覗き込んで、抗議をしたいところであるが、嫉妬深い夫が目の前に居るのだ。そんな事が出来よう筈もない。