あなたの色に染められて
第2章 はじめの一歩
『では 璃子ちゃんとの再会を祝して~』
『カンパーイ!!』
テーブルに京介さんと直也さんがオーダーしてくれたお洒落な料理が並ぶ。
なかなか話に入れない私は自然とみんなにお料理を取り分けていた。
『あのさ…さっきから見てて思ってたんだけど…』
京介さんは最後に取り分けた私の小皿をじっと見つめると
『それじゃ璃子ちゃんの分少なくない?』
『いや…あの…男の人はたくさん食べるかなと思って…。』
『…そか。』
京介さんは私の目をじっと見つめて
『優しい子なんだね。』
なんて 優しく微笑んでくれるから私はカァっと全身が熱くなった。
***
『ねぇ美紀。璃子ちゃんのこと俺らにちゃんと紹介してよ 。』
『あ~そうだね。うんと…高円寺璃子ちゃん。私と同じ22歳で高校からの親友で…働いてるところも偶然一緒。璃子は病院の事務やってるけどね。』
『…璃子です。』
私はペコリと頭を下げると
『直也。京介さんのこともちゃんと…。』
そう言うと 京介さんは私の方に体を向けて
『ゴメンね 俺もちゃんと自己紹介してなかったね。えっと…森田京介です。直也の1つ先輩。だから…25?高校の野球部の先輩後輩の仲。そんで…あとはご存じの通り○○信金で営業やってる。よろしくね。』
私に微笑むと
『京介さんて彼女いるんじゃないんですか?』
美紀は一発目からズバッとつついて
『いないよ。1年ぐらい。』
『えっ?意外…。』
私も同じことを思った。だって彼は誰が見たってルックスは抜群だし優しいし頼もしい。
『あのね…京介さんは困ってないの。』
なるほど…特定の彼女作らなくても別にいいのかぁ。
『璃子ちゃん?…直也おまえ なんの恨みがあんだよ。』
『ははっ…スイマセン。』
京介さんは直也さんをジロリと睨むけどたぶん半分は本当のことだと思う。
だって うちの病院でだって彼を狙ってるお姉様方はたくさんいて…
私への振る舞いを見てると女の人の扱いにも慣れている感じだし…
どう見たって恋愛上級者
『…璃子?大丈夫?』
一歩前に足を踏み出すごとにそこは私の知らない場所で
『…ハハッ…』
このまま歩み続けていいのかそれさえもわからないほど不安がいっぱいで
『璃子ちゃん?』
でもその笑顔には触れたくて。
恋愛は賭けなんだ…って思った。