あなたの色に染められて
第14章 臆病者
『…うわぁ。』
『璃子 口開いてる。』
『だって…はじめてです。こんなキレイなイルミネーション。』
12月の2週目の土曜日
午前中で仕事が終わった私は 京介さんの働く都内で待ち合わせをして 有名な表参道のイルミネーションを見に来ていた。
はじめてのお外でデート…最後かもしれないデート…
『ほら危ない。』
『わぁっ!』
上ばかりみている私は信号さえも目に映らないほどこの輝きに魅せられて
『泊まるところがオレん家じゃなくて病院になるぞ?』
『ごめんなさい。』
指を絡めたまま彼の腕にしがみついた。
あれから
1カ月近くたったが 京介さんからは何も言われていない。そして私も何も言ってない。
野球も運良く雨で試合が流れたり京介さんが忙しくて行けなかったり私がわざと用事を作ったり…
だから遥香さんには会っていなかった。
『見て?可愛い。』
シャンパンゴールド色の電飾が欅並木を彩りショップもクリスマスオーナメントで飾ってなにもかもがキラキラと輝いていた。
そして 何よりもスーツにトレンチコート姿の京介さんと歩くことは私の心をさらに踊らせて
『もう少し 大人っぽい格好すればよかった。』
ショップの鏡に映る自分を視界に入れるとちょっと口を尖らせて
『また始まったよ…璃子はそのままでいいって言ったよな。』
『だって… ヒール履いてもチビだし…お化粧しても童顔だし…』
『ハイハイ。いつまでもそうやってブー垂れてなさい。』
正直 私たちの関係は変わってなかった。いや…変わったとするなら私の行動力。
“今日が最後かも”
って思って少しワガママになったことぐらい。
それは後悔したくないから。
*
『ここが終点ですね。』
もう少しイルミネーションを楽しみたい私たちは表参道沿いの電飾が見えるお店で食事楽しんで京介さんの家に向かった。
あの日以来 部屋の様子が気になっていた。
…汚い…よしOK
洗濯物が溜まってて部屋が少し散らかっていると安心した。
お風呂から上がり京介さんに髪の毛を乾かしてもらい 二人で並んで歯磨きしてリビングに出ると
『…キャッ』
『さて、久しぶりに堪能させてもらいましょうかねぇ』
『な…ちょっと待って下さ…』
『待てるかアホ。』
『もう!』
京介さんにお姫様だっこをされて寝室に連れて行かれた。